KIPP対人関係論カウンセリング講座-体験の共有に基づく心理相談-

KIPPでは対人関係論をもとに、心理療法の訓練とサービスを手がけてきました。また、最近では組織や集団を活性化する組織心理コンサルテーションにも取り組んできました。他者との体験を共有するコミュニケーションは、心の健康にとっても、組織の活性化にとっても欠かすことができません。

この講座では、カウンセリングという対人援助の技法に、こうした対人関係論や組織論の考え方を組み込ませながら、さまざまなワークを取り入れて、実践的に学んでいただくように工夫しています。
新型コロナウイルス感染拡大により、第3回以降が中止となりましたが、この度、オンライン開催の形にリメイクし、再開することといたしました。

受講者には、さまざまな領域で心理支援に携わっている臨床心理士等の心理職員や心理相談員、および、福祉や教育などさまざまな立場で相談業務に関わっている福祉施設職員、教員、看護師、保育士など、対人援助に関わる様々な職種の方々を想定しています。

講師陣は、KIPPで心理療法の訓練を受けた臨床心理士です。精神分析的心理療法の訓練と実践を通して得た知識と経験をもとに、さまざまな職種の方に活用していただけるよう、オリジナルの講座内容をプログラムしました。多くの方の参加をお待ちしております。

第1回「対人関係について考える」

講師:川畑 直人(京都文教大学臨床心理士学部教授)
日時:2020年1月18日(土) 13:00-17:00
会場:新大阪丸ビル新館909号室

対人関係論を提唱したサリヴァンの理論を、なるべく分かりやすく解説し、6回の講座の共通基盤を作ります。特に、私たちが普段、対人関係をどのように体験しているのかについて、その主観的な要素、個人的に歪曲する側面に焦点を当てます。そして、それをいかに他者と共有できるものに変えていけるのかについて考えてみたいと思います。
演習では、他者が抱く第一印象が、どのようにつくられるのか、それがどのように自己イメージに影響するのかを、グループ・ディスカッションを通して体験していただきます。

講義:①対人関係を求める存在としての人間について ②対人の場の統合と統合を妨げる要因 ③不安を避けるための安全保障操作 ④パラタクシスをシンタクシスに
演習1:初対面の印象形成ワーク 演習2:思い込み体験のシェアリング

第2回「生き生きとした対話における傾聴」

講師:長川 歩美(A&C中之島心理オフィス主宰)
日時:2020年2月15日(土) 13:00-17:00
会場:新大阪丸ビル新館909号室

どのようなコミュニケーションにおいても傾聴が重要であることは変わりません。相手の話をじっくりと聴くということは、対人関係を築く上で最も重要な基礎を作ります。ただ、一方的に話を聴き続ける・聴き続けられるという関係は、双方にとって苦痛になることがありますので、対等な応答性も重要です。この講座では、対人関係論が大切にする対等な応答性を保ちながら、聴くべきポイントはしっかり聞くという傾聴の姿勢について考えてみたいと思います。

講義:①対人関係における傾聴の意味 ②カウンセリング理論と傾聴 ③閉じられた質問、開かれた質問と傾聴 ④共感と傾聴、応答性
演習1:3つの聞き方 演習2:他己紹介 演習3:フィッシュボウル形式の対話の練習

第3回「サポーティブな関わりの方法」

講師:今井 たよか(あるく相談室京都)
日時:2021年2月6日(土) 13:00-16:00
会場:オンライン(Zoom)

カウンセリングは具体的な目標をクライエントと合意しながら進めます。いくつか目標を立てたら、それに向かってクライエントが動機を維持し、自我の適応的な側面をできるだけ有効に用いて内省を深めながら行動できるようにカウンセラーがサポートしていきます。クライエントはカウンセラーと二人三脚で目標に向かって進む経験をするのですが、その経験を通してクライエントの自尊感情が高まるようにカウンセリングの流れを支えることもカウンセラーの大切な仕事です。今回はクライエントをサポートしてカウンセリングを進めるための介入技術を学びます。

講義:①目標と合意 ②アジェンダの作成 ③賞賛・保証・励ましなどの言葉の技術 ④助言と心理教育
演習1:仮想カウンセリングセッション#1 演習2:仮想カウンセリングセッション#2

第4回「カウンセリングで生かす質問の技術」

講師:川畑 直人 ※今江秀和(広島市立大学)より変更となりました。
日時:2021年2月27日(土) 13:00-16:00
会場:オンライン(Zoom)

対人関係論では質問はもっとも重要な臨床的介入技法のひとつと考えられています。単に相手から情報をもらうということではなく、これまで意識してこなかったことに興味を持ち、それについて考えてみるということ促すことができるからです。そのためには、カウンセラーの側が、生き生きとした好奇心を持っていなければなりません。そのことの意味を考えながら、今回もフィッシュボウル形式のワークで質問の仕方を実践的に学んでいきます。

講義:①カウンセリングにおける質問の意味 ②探索を促す質問、探索を閉ざす質問 ③不安勾配 ④人間における好奇心とそれを閉ざすもの
演習1:例題によるグループ討論 演習2:フィッシュボウル形式の対話の練習

第5回「防衛の理解と言及の仕方」

講師:馬場 天信(追手門学院大学心理学部教授)
日時:2021年3月20日(土) 13:00-16:00
会場:オンライン(Zoom)

私たちは、不快な体験、自尊心の傷つき、対人関係における不安を軽減するために、さまざまな対処方法を身につけています。防衛と呼ばれるこうした心の働きは、複雑な対人コミュニケーションを理解する上で不可欠です。防衛は誰もがある程度は現実適応のために使っているものですが、それが過剰になるとかえって不適応的な状態を作り出します。カウンセリングのコミュニケーションではそうした防衛のあり方に言及する場面がでてきます。それは、対象者の問題解決にも直結する、重要な介入の一つにもなります。この回では防衛についての理解枠と、それに対する言及の仕方について検討します。

講義:①防衛概念の歴史 ②防衛と安全保障操作 ③さまざまな防衛機制 ④防衛と性格スタイルの関係 ⑤防衛について言及する方法
演習1:防衛のリストに基づくグループ討論 演習2:フィッシュボウル形式の対話の練習

第6回「組織の視点からカウンセリングを考える」

講師:川畑 直人
日時:2021年4月17日(土) 13:00-16:00
会場:オンライン(Zoom)

カウンセリングを活用する対人援助の仕事は、何らかの組織の中で行われます。したがって、組織というものについての理解がないと、有効にカウンセリングを行うことができません。この回では、組織心理コンサルテーションで使うBART(境界、権限、役割、課題)という概念を使って、カウンセリング場面を考えていきます。カウンセリングを行う場の設定、枠組みの作り方、守秘義務など倫理や職責の理解を促し、さまざまな職場でカウンセリングを生かす方法を検討します。

講義:①組織心理コンサルテーションについて ②BART ③カウンセリングの場をBARTで考える ④職場におけるカウンセリングの位置づけ方
演習1:BARTに関するグループ討論 演習2:職場絵図

参加費各回5,000円
対象さまざまな領域で心理支援に携わっている臨床心理士等の心理職員や心理相談員、および、福祉や教育などさまざまな立場で相談業務に関わっている福祉施設職員、教員、看護師、保育士など、対人援助に関わる様々な職種の方。
定員各20名
申込方法参加申込受付は終了しました。
参加規約■参加規約①
有限会社ケーアイピーピー主催のオンラインセミナー(以下、セミナー)は、プライバシーの守られる場所において、お一人でご参加してください。

■参加規約②
セミナーの内容を録音、録画することは禁止です。主催者は録音・録画を行います。

■参加規約③
セミナーで知り得た個人情報その他守秘義務や取扱いに配慮を要する情報については、他者に漏洩することは禁止です。

■参加規約④
個人視聴確認のため、セミナー開催時間中はお顔が表示されるよう設定してください。

■参加規約⑤
参加時のユーザー名※は、申込時のお名前に設定のうえご参加ください。異なる場合はご参加いただくことはできません(入室許可ができません)。お名前の変更ができない場合は事前にご連絡ください。
※ユーザー名は以下をご確認ください。
〈可〉漢字、ひらがな・カタカナ・ローマ字表記
〈不可〉旧姓、姓名のどちらかのみ、イニシャル、別の方のお名前、職場名、端末名(iPhoneなど)、その他申込時のお名前と異なる名称
お問い合わせお問い合わせよりご連絡ください。